TOEICリスニングを「聞こえた」で終わらせないために
TOEICリスニングで、こんな経験はありませんか。
音は聞こえた。知っている単語もあった。スクリプトを読めば内容も分かる。なのに、本番では答えを選べなかった。
この状態になると、多くの受験者は「もっとリスニング量を増やさなければ」と考えます。もちろん、英語の音声に触れる量は大切です。ただし、聞く量を増やすだけで、答えが選べるようになるとは限りません。
TOEICリスニングで必要なのは、英語をただ耳に入れることではありません。限られた時間の中で、必要な情報を聞き取り、設問に合わせて判断することです。
つまり、「聞こえた」と「答えを選べた」は同じではありません。
「聞こえる」と「答えを選べる」は同じではありません
復習でスクリプトを読むと、「なんだ、分かる内容だった」と感じることがあります。
でも、本番では音声は一度しか流れません。戻ることも、止めることもできません。考えている間にも、次の情報が流れていきます。
このときに必要なのは、すべての単語を拾う力ではなく、今どの情報を聞くべきかを判断する力です。
たとえば、Part 3やPart 4では、細かい単語よりも次のような情報が答えにつながることがあります。
誰が話しているのか
どこで話しているのか
何が問題なのか
なぜ連絡しているのか
次に何をするのか
これを意識しないまま聞いていると、音は耳に入っていても、答えに必要な情報を逃してしまいます。
今、自分は何を聞こうとしていたのか。
リスニング復習では、この問いが大切です。
聞き流しは、努力不足ではありません
受動的リスナー(Passive Listener / 聞き流し)に入っている受験者は、英語を聞いていないわけではありません。
むしろ、真面目に聞いています。通勤中に音声を流す。シャドーイングをする。何度も同じ音声を聞く。それでも本番になると答えを逃す。
この場合、問題は努力不足ではなく、聞く目的が曖昧なことかもしれません。
英語を聞くとき、脳に役割がないと、音声はただ流れていきます。内容をなんとなく追っているつもりでも、設問に必要な情報を探す準備ができていないのです。
TOEICリスニングでは、「たくさん聞く」だけでは足りません。
何を聞き取るために聞いているのかを決める必要があります。
Part 1では、写真ではなく「動作」と「状態」を聞く
Part 1は短いので、簡単に見えるかもしれません。しかし、ここでも聞き方の癖が出ます。
写真を見て、すぐに「これは会議室」「これは駅」「これは店」と決めつけると、音声の細かい違いを聞き逃すことがあります。
Part 1で聞くべきなのは、写真全体の印象ではなく、人物や物の状態です。
人は何をしているのか
物はどこにあるのか
動作は今進行中なのか
ただ置かれているだけなのか
写真にないことを言っていないか
Part 1では、知っている単語が聞こえたから正解とは限りません。写真に合っているかどうかを、落ち着いて確認する必要があります。
ここで焦って選ぶ人は、スピードトラップ(Speed Trap)に入りやすいです。速く選ぶことより、根拠を持って選ぶことが大切です。
Part 2では、単語よりも返答の役割を聞く
Part 2では、短い質問と返答を聞きます。
ここでよくある失敗は、質問の中に聞こえた単語と似た単語が選択肢に出てきたとき、それに引っ張られてしまうことです。
でも、Part 2で大切なのは、同じ単語を探すことではありません。
質問が何を求めているのかを聞くことです。
場所を聞いているのか
時間を聞いているのか
理由を聞いているのか
提案しているのか
依頼しているのか
確認しているのか
たとえば、質問が依頼なら、返答は「できる」「できない」「代わりの案を出す」などになります。質問が予定確認なら、返答は時間、変更、未定などにつながります。
翻訳グセブロック(Translator)がある人は、質問文をきれいに日本語へ直そうとしている間に、返答の機能を逃すことがあります。
Part 2では、全部を訳すよりも、まず「何を求めている質問か」をつかむことが大切です。
Part 3では、会話の流れを先に持つ
Part 3は、二人または複数人の会話です。
ここで一番危ないのは、一つの単語だけを追いかけることです。聞き取れない単語が出た瞬間に止まってしまうと、会話の流れを見失います。
Part 3では、細部よりも先に会話の骨組みを追います。
誰と誰が話しているのか
どんな関係なのか
何について話しているのか
何か問題が起きているのか
最後にどんな行動が決まったのか
特に、次の行動はよく答えにつながります。
「資料を送る」
「会議を変更する」
「担当者に確認する」
「店に戻る」
「別の商品を探す」
こうした流れを聞く練習をしていると、すべての単語が聞こえなくても、会話の方向がつかみやすくなります。
この会話では、誰が、何のために、次に何をするのか。
Part 3の復習では、この問いを残しておくと効果的です。
Part 4では、話の目的を聞く
Part 4は、一人の話し手による説明、案内、電話メッセージ、広告、社内連絡などが中心です。
ここでは、最初の数秒が大切です。最初に状況をつかめないと、その後の情報がばらばらに聞こえやすくなります。
Part 4でまず聞くべきなのは、話の目的です。
お知らせなのか
依頼なのか
謝罪なのか
変更の連絡なのか
商品やサービスの説明なのか
次の行動を促しているのか
目的が分かると、細かい情報の意味が整理しやすくなります。
たとえば、話の目的が「予定変更」なら、聞くべき情報は新しい日時、理由、相手が次にすべきことになります。目的が「苦情への対応」なら、問題、謝罪、解決策を聞く必要があります。
Part 4では、単語の量よりも、話の目的と流れを取ることが重要です。
スクリプト復習で見るべきこと
リスニング復習でスクリプトを見ることは役に立ちます。ただし、スクリプトを読んで「分かった」で終わると、本番の聞き方はあまり変わりません。
スクリプト復習では、次の点を確認します。
どこで状況が分かったのか
どの一言が答えにつながったのか
自分はどこで別の方向に考えたのか
聞き逃した単語は、本当に答えに必要だったのか
日本語に訳さなくても分かる表現はどれか
特に大切なのは、聞き逃した単語をすべて責めないことです。
答えに関係ない単語もあります。聞き逃しても、流れを取れれば答えられる問題もあります。
復習では、「何が聞こえなかったか」だけでなく、何を聞くべきだったかを見ます。
聞き逃した単語は、答えに必要な情報だったのか。
この確認を入れるだけで、復習の見方が変わります。
聞く前に、脳に役割を与える
TOEICリスニングでは、音声が始まる前の準備も大切です。
何も決めずに聞き始めると、音声全体を追いかけることになります。すると、途中で知らない単語や速い発音が出たときに、意識が止まりやすくなります。
聞く前に、脳に一つだけ役割を与えます。
話している人の関係を取る
問題の原因を探す
次の行動を聞く
場所を判断する
変更された情報を聞く
このように目的を決めると、リスニングは聞き流しではなく、判断の練習になります。
もちろん、最初から完璧にできる必要はありません。大切なのは、「聞こえたかどうか」だけでなく、「何を聞こうとしていたか」を毎回確認することです。
TOEICリスニングの力は、耳だけで作られるものではありません。注意の向け方、判断の速さ、聞き逃した後に戻る力も含まれます。
TOEICリスニングは、音の量だけでは変わりません
リスニングが苦手だと感じると、受験者はよく「もっと英語を聞こう」と考えます。
それ自体は悪くありません。ただし、音声を増やしても、聞き方が同じなら、同じ聞き逃しが続くことがあります。
TOEICで必要なのは、英語の音をただ浴び続けることだけではありません。限られた時間の中で、必要な情報を取り、答えにつなげることです。
受動的リスナー(Passive Listener / 聞き流し)から抜け出すには、聞く量より先に、聞く目的をはっきりさせる必要があります。
聞こえた英語ではなく、答えにつながる情報を取れていたか。
この視点で復習すると、リスニング練習は少しずつ変わっていきます。
もっと知りたい方へ
TOEICでよくある「学習の壁」を乗り越え、正しい習慣を身につけ、スコアが伸びない原因を整理する方法を、ブログで詳しく紹介しています。
まずは、今のTOEICリスニングを止めている本当の原因を見つけるために、無料の**「ブロック診断テスト」**をお試しください。